両罰規定

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 労働安全衛生法第122条では、「法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従事者が、その法人又は人の業務に関して、第116条、第117条、第119条又は第120条の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。」と規定されています。これは、いわゆる「両罰規定」であり、「行為者を罰する」の文言は法令違反の実際の実行行為を行った自然人(人)を罰することを、また、「その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する」は業務主体である事業者そのものに対しても罰金刑を科することを規定しています。この場合、事業主体についてはその事業主体が「法人」であれば「法人そのもの」を、事業主体が個人経営であれば業務主体としての「人」に対して罰金刑が科されることになります。
 企業が資本を投下し、機械設備を導入し、労働者を雇い入れて生産を行っているが、これらの企画、検討、実施の段階において、経営者がその詳細な事項まで自分がすべて指示しているわけではなく、自社の社員や他者の専門家に任せていることが多いです。
このため、工場長や部長・課長、現場の職長などの管理監督者に一任している生産の段階で災害が発生した場合には、被災した労働者に対する事業者責任は免れうるのではないか、企業は金銭的な補償は行っても、その災害の責任は管理監督者にあって事業者にはないのではないかと考えがちですが、それは誤解です。労働安全衛生法違反に実際に関わった実行行為者(例えば、社長自ら、あるいは製造部長、課長など)個人が罰せられるとともに、事業者(法人の場合にはその法人、個人事業主の場合にはその人)に対しても罰金刑が科せられます。